先日、お父さんが亡くなった20代の男性に出会いました。お母さんに似た端正な顔立ちの青年。服装もいまどきの男の子。色んなことを楽しんでいける世代。
ただ、青年が置かれている状況は多くの方と違うものでした。
色んな家族のかたちがあり、そして若くして家族の介護を一身に背負うヤングケアラーも存在するのです。
家族のかたち
青年は5人家族でした。一家の大黒柱であるはずの父は先日病気で他界。そして今は4人家族になった青年。それだけでも大変そうだと感じるのですが、実際にはもっと困難な状況に青年は置かれていたのでした。
青年の父は生前アルコール依存症で働くことができず。母は病気で入院中。今後も働ける見込みはありません。祖母は認知症。在宅での生活が難しく入院中。そして、たった一人の兄弟にも障害があり施設に入所中。
青年は一人で家族4人を支えている状況だったのです。
ヤングケアラー
私にも2人の子どもがいます。子どもには自由に幸せに生きてほしいと願っています。青年の話を聞いたときに耳を疑ってしまいました。
こんな子どもがいるなんて…(我が子と青年の年齢が近かったので、青年のことも子どもと表現しています)
青年が、同世代の多くの若者たちと違う状況に置かれていると知り、戸惑いを感じてしまいました。もちろん青年が自分の人生を歩めないと言うつもりはありません。置かれた状況の中で幸せを選んでいくこともできますし、楽しい時間を過ごすこともできます。
しかし、やはり介護に費やす時間や労力、金銭的なことを考えると、多くの若者よりも厳しい現実があります。脳のリソースも介護の方に持っていかれてしまうので、自分自身の幸せを考える時間も減ってしまうのではないでしょうか。
社会的に表面化しにくいヤングケアラー。青年はその典型的とも言える状況に置かれていたのです。
ヤングケアラーとは一般的に「病気や障害を抱える家族の介護や世話を日常的に行う18歳未満の子ども」とされているため、青年は年齢的にはヤングケアラーを卒業しています。
しかし、青年は幼い頃から介護を余儀なくされていたので、この記事ではヤングケアラーとさせていただきました。
何ができるのだろう
私は一看護師として青年に出会い、接点も少ない状況です。青年の話を聞いてあげることしかできません。しかし話を聞く時間も業務の範囲内ですので、ほんのわずかな時間…
青年に幸せになってほしいと願っていますが、影響の輪の外にいる青年への介入は難しい。私にできることは、ヤングケアラーという存在を知ってもらうこと。
私自身のすべてを注ぎ込み支援していくことはできませんが(たぶん私の心が先に折れてしまうので)この記事を通して、少しでもヤングケアラーに関心をもってもらえたらと思います。
一人で多くのことを抱えるヤングケアラー。社会全体で見守り支えていけることを願います。
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