高齢者はご自分の身体の変化を上手に伝えることが難しい場合があります。もし、その変化に気付くことが遅れてしまったら?
小さな変化に気付くことの大切さを共有します。
介護スタッフの気付き
先日、天国へと旅立たれた80代の男性。年相応の認知力の低下はありましたが、比較的自立されていました。
ある日、ちょっとした変化が…
夕食前に男性の部屋の前を通りかかった介護スタッフ。男性がリハビリパンツを上げきらずにベッドに休んでいることに気付きます。気になって男性に触れると男性の身体が熱い。
スタッフより報告を受けて熱を測ると39℃以上の発熱。男性に声を掛けると、夕食のために歩いて食堂へ行こうとされます。「熱があるから、今日はお部屋で食事にしましょう」と声をかけ、お部屋で食事をして頂きました。
そしたら、なんと全量摂取。このままなら熱の下がりも早いのではないかと思い安心しました。
しかし感染症の可能性もあるので、男性は4人部屋を使用されていたため、同室者が食堂から戻って来られる前に個室に移動して頂きました。
小さな変化に気付く大切さ
もし、あのとき男性の小さな変化にスタッフが気付いていなければ、私たちが男性の熱に気付いたのは翌朝だったかもしれません。
食堂で食事が摂れていて、ご自分でベッドに戻り休まれていたのなら、熱を測ることもなかったと思うからです(夜間は体調不良者の検温のみであり、状態が安定されている方の検温はしていません)。
いつもはベッドの横に置いているポータブルトイレを使用していた男性。しかし個室に移ってからは全く動けずオムツを使用することになりました。もし発見が遅れていれば、男性がひとりでポータブルトイレに移ろうとしたときに、熱の影響で転倒事故などにつながった可能性もあります。
小さな変化に気付けたことで、問題が大きくなることを防ぐことができたのではないかと思います。
食事も全部食べることができたし、熱が下がればお元気になるだろうと思っていた男性でしたが、熱が下がった後も動くことができず。食事量も徐々に減っていきました。
そして看取りの時期を迎え、その後は天国へと旅立っていかれました。
いつもと違うは大切な視点
高齢者や子ども、何らかの障害を抱える方は、自身の状態をうまく言語化できないことがあります。
いつもと違うことをしている。
いつもと表情が違う。
いつもと言うことが違う。
ほんの些細なことであれ、いつもと違うことは小さなサインの可能性があります。
その時点では気付くことができなかったけど、後になって振り返ってみると…ということも少なくありません。
我が子のことでも、それで反省することはよくありました。相手の変化に気付くには、自分自身の心にもゆとりが必要です。ゆとりがないと視野が狭くなり、普段見えていたことも見えなくなることもあります。
相手だけでなく自分自身も大切にしていくこと。そこから優しさが生まれ、相手の変化に気付きやすく、相手をより大切にできるようになるのではいでしょうか。
最後までお読み頂きありがとうございました。
今日も皆さんと、皆さんの大切な人が幸せを選んでいけますように。
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