私の父は悪性リンパ腫で亡くなりました。
生前、父にはお気に入りのスーツがありました。愛娘の結婚の挨拶で着たスーツ。最後はお気に入りのスーツで旅立たせてあげたい…
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最後は何を着たい?
自分が死ぬとき、何を着たいか?今の私はあまり考えることができません。
けれど、この人生をもっと一生懸命に生きて、忘れられない大切な思い出ができたら?
そのときは思い出の服を着て、天国に行きたいと願うかもしれません。
では大切な人の最後のときはどうしょうか?
大切な人の最後なんて考えたくない!と思う方もいらっしゃると思います。
けれど私は、大切な人の最後だからこそ、しっかりと考えてあげたい。
私には大学生の子どもが二人います。
考えたくはないですが人の命には限りがあります。
息子の友人は去年、事故で亡くなりました。20歳でした。
明日も命が必ずあるという補償はありません。
その事故で亡くなっていたのが、
もし、息子だったら?
もし、娘だったら?
そう考えたとき、息子だったら最後にどうしてあげたいか?娘だったら最後にどうしてあげたいか?を意識しておくのは無駄なことではないと思います。
縁起でもないと思われるかもしれませんが、大切な子どもたちだからこそ、今を応援すると共に、子どもの最後までを真剣に考えています。
父のスーツ
父が亡くなる前、私の妹は結婚を決めたばかりでした。愛娘の結婚を心から祝福していた父。嬉しそうに妹の話をする父の表情は、今でも忘れることができません。
そんな父には、お気に入りの服がありました。
それは、妹の結婚の挨拶のときに着たスーツです。両家揃っての場で着るスーツ。大切な娘の、大切な挨拶の場だからと、スーツを新調した父。娘に恥ずかしい思いをさせたくない。少しでも印象を良くできるように。
娘の結婚がうまくいきますように!
そんな、父親としての思いが詰まったスーツ。父にとっては大切な思い出の一着でした。
父のこと
妹の結婚を誰よりも楽しみにしていた父。口下手でうまく話せないけれど、いつも家族を心から大切に思っていた父。
私の初めてのお産のときのエピソードも父の愛を感じました。
予定より一ヶ月早く破水した私。当時、私は県外に住んでいました。個人のクリニックでお産の予定でしたが、お腹の子どもが小さいこともあり、大学病院へ救急搬送となり…
そのころ、初孫の誕生を心待ちにしていた父。私が搬送されたと聞いて、とても慌てていたそうです。母の話によると、自分の運転でも車酔いするくらいの父でしたが、大学病院に駆けつけてくれたときは、車を運転していても緊張し過ぎて車酔いしなかったと。
初めてのお産に臨む私よりも緊張していた父。面会に来てくれたときの、こわばった表情は今でも忘れられません。冷静は装っていましたが、父の思いは十分伝わってきました。
そして、無事に息子が生まれ、言葉にこそしないけれど、誰よりも初孫の誕生を喜んでくれていました。父は、私たち家族にとってかけがえのない存在でした。
父らしく旅立たせてあげたい
懸命に治療に臨み、最後まで人生を諦めなかった父。困難なことがあっても、いつも前を向こうとしていました。
そんな父が、もうすぐ旅立つ…
家族にとっては受け入れ難い真実が、すぐそこに迫っていました。父が父らしく旅立てるように何ができるだろうか?
最後にできること、父らしい服を着せて旅立たせてあげること。
父が最後に気にしていたことは、やはり妹の結婚でした。それならば、あのスーツしかない。妹の結婚の挨拶のときに着たスーツ。
今思えば、父に何を着たいか意思を確認しても良かったのでしょうが、治ることを諦めていない父に聞くことはできませんでした。
そして、父は思い出のスーツを着て、安らかな表情で旅立っていったのです。
元気なうちに考える
最後について考えることは、とてもデリケートな問題です。死が忌み嫌われ、話すことがタブーであれば尚更です。
けれど死は誰にも等しく訪れます。
それならば、どうしたら良いのでしょうか。
個人的には、元気なうちから話し合っておくのが一番ではないかと思っています。自分にとっても、大切な人にとっても最善の選択をするためには、冷静な判断ができるうちに話し合う必要があります。
自分らしい、大切な人らしい服装とは?
死んだ後の服なんてどうでもいいよー!と思われる方もいらっしゃると思いますが、
私は、最後までその方らしくいてほしいと願っています。だからこそ、服装も大切にしたいと考えています。
それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました!
今日も皆さんと、皆さんの大切な方が幸せを選んでいけますように。
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