私の母は父が亡くなって以降、実家で一人で暮らしていました。
その母が亡くなったのは4年前。
孤独死でした…
連絡がつかない
それは娘の高校の合格発表の日に遡ります。
夕方、学校から帰って来た娘が「合格した」と結果を教えてくれました。
良かった…。安堵した瞬間でした。
「おめでとう!」を娘に伝え、母(娘にとっては祖母)にも伝えなきゃ!
と早速、母に電話をするも繋がりません。
出かけてるのかな?と思い、時間をあけてもう一度電話してみましたが、やはり電話に出ない母。
何度かかけてみますが繋がらない。
おかしいなと思い、私の兄妹にも連絡を取ります。
(その少し前に兄妹でLINEグループを作っていました。母が高齢になってきているので今後について情報共有するためです。)
兄妹に、母と連絡が取れないことを伝え、母と最近連絡を取ったか確認しました。
私は4人兄妹なのですが、最近は皆忙しくしており、母に連絡を取っていなかったとのこと。
気になる状況ではありますが、その日私は夜勤入り。妹から「この前も病院に行ってて出ないときがあったし、私が連絡してみるよ。」と言われたので、私は仕事に行きました。
次の朝、夜勤が終わってから妹に連絡しますが、まだ連絡は取れていないと。
気になる…
しかし私は夜勤明け。実家までは片道3時間かかる。今日は運転できる自信がない。
他の兄妹も県外や県内でも遠方にいたので、その日は確認に行けず。
妹は、母の近くに住む伯母に確認に行ってもらったらどうかと提案してくれましたが、伯母も80代と高齢。万が一のこと(孤独死など)があって伯母に負担をかけるといけないと思い、翌日私が確認に行くことにしました。
安否確認へ
翌朝になっても、やはり母と連絡がつかない。
いよいよ状況は悪い方に進んでいるのではないか?
胸騒ぎする気持ちを抑えながら、子どもたちを学校に送り出します。
当時、高校生だった息子は「俺も一緒に行こうか?」と言ってくれましたが、もしものとき、息子に母の姿を見せるわけにはいかないと思い「大丈夫。何かあったら連絡するから。」と息子に伝え、私は一人で母の元に向かいました。
何度も「生きててほしい」と願いながら車を運転します。
まだ、ありがとうを伝えてない!虫の息でもいい!とにかく生きてて!
…
そして、その気持ちとは相反するように「もしものとき」のことを考えていました。
3時間の道のりはとても長く遠いものでした。
変わり果てた母
実家に着くと、母の車があります。
母は家にいる!
はやる心を抑えながら玄関のインターホンを押します。
けれど反応はない…
ポストには新聞が溢れていました。
あ…
ダメかもしれない。
そう思いながら、合鍵で実家に入ります。
テレビの音がする。
「お母さん!お母さん!」と呼びかけながら、母がいつも過ごしている部屋へ向かいます。
返事してよ!!
…
そして部屋に入ると、そこには変わり果てた母の姿が。
一目で亡くなっていることがわかりました。
通報
職業柄、これまで何人もの方の最後に立ち会ってきた私ですが、変わり果てた母の姿を見て恐怖を感じてしまいました。
救急?警察?
とにかく連絡しなれば…
死亡確認してもらわないといけないから救急だ!
そう判断し119番通報。
母の傍にいることに恐怖を感じていたので、母とは別の部屋へ行き通報しました。
消防署に繋がり、母が孤独死していることを伝えると、状況を察してくれた隊員が「警察にはこちらから連絡しておきますよ」とおっしゃって下さり…
ありがたいなぁと感じました。
そして、救急車が到着するまでの時間は家の外で待つことに。
兄妹にも連絡し母のことを伝えます。
しばらくして救急車が到着。
隊員の姿(生きている人)を見たらホッとしたのを覚えています。
隊員の方が一緒のときは恐怖もやわらぎ、母の傍にも行くことができました。
母は明らかに亡くなっているのがわかる状況でしたが、心電図で確認しやっと死亡確認。
そして隊員の方が「もうすぐ警察も来ます。警察に申し送りしたら帰りますね。」と警察が到着するまでいて下さったので心強かったです。
その後、警察が到着し、現場検証が行われたのち検死…
話はまだ続くのですが長くなるので、今回はここまでとします(^_^;)
家族が今できること。
孤独死はできれば避けたいことですが、自分の身の回りに起きることもあります。
以前勤務していた病院では、一人暮らしの20代の技師が朝から出勤して来ず。
同僚が確認に行くと、自宅で亡くなっていました。
事件性はなく病死でした。
その技師は、他県から就職していたため、ご家族も異変に気付くことができなかったようです。
孤独死は高齢者だけの問題でもありません。
では、どうしたら良いのでしょうか?
やはり、こまめに連絡を取ることが一番だと思います。
LINEで既読になることを確認するだけでも安心しますよね。
母の場合、新聞を購読しており、毎朝新聞が届けられていました。
ポストの中は新聞でいっぱいでした。
田舎で高齢者ばかりの地域に住んでいた母。
もし、新聞社に一言、母の状況を伝えていたら?
そうしたら、もっと早く見つけてあげられたのではないかとも思います。
それと、もう一つ、お伝えしたいのは「孤独死」の可能性を感じるとき、一人で確認に行くことはおすすめできません。
私は、母の孤独死を発見して以来、今でも実家に一人で帰ることができません。
母の姿が目に浮かび恐怖を感じるからです。
母の孤独死している状況を見たのは私一人。兄妹はすでに棺に入った母しか知りません。
母の変わり果てた姿を誰とも共有できないので、余計に恐怖の処理が難しいのかもしれません。
…
母に「ありがとう」を伝えることができなかった私。
どんなに悔やんでも、もう母に直接感謝を伝えることはできません。
皆さんは、大切な人に伝えられていますか?
伝えるタイミングは、いつも「今」なのかもしれません。
…
母の姿を見つけてあげるまで時間はかかりました。
しかし、母は、かわいい孫娘の高校受験が終わるまで、そっと待っててくれたのかもしれません。
お母さん、ありがとう。ゆっくり休んでね。
※関連記事『母の孤独死から学んだ、家族が今できること。後編』はこちら
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