80代の男性利用者さん。私が担当させていただいた利用者さんです。ご家族の面会が多くなかった男性。担当として少しでも一緒に過ごすことができたら…と思い関わらせて頂きました。
そんな男性と過ごした最後の時間のお話をします。
男性のこと
お元気なときは、すぐにカッとなることもあり、ちょっとぶっきらぼうで。そして優しい方でした。ご家族は奥様と娘さん。面会は多くはなかったですが男性のことを大切にされていました。
男性は生活保護世帯。自宅と施設は距離がありご家族も車を持っていらっしゃらなかったので、それが面会が少ない要因だったと思います。
看取りの時期
入居されたばかりの頃はお元気だった男性でしたが、徐々に食事も入らなくなり看取りの時期を迎えることになりました。
担当として何ができるだろう?ご家族の面会が少ないのであれば、私がご家族の代わりに傍に居たら良いのではないか?
男性が寂しい思いをしないように、できるだけ関わる時間をつくろう。そう思い、仕事のときはできるだけ男性の居室を訪れるようにしました。
そして刻一刻と男性の最後の時間は近付いていました。
最後の時間を一緒に
最後のときはもうすぐかもしれない…
そんな中、私は三連休を迎えることに(希望の休みではなく、たまたまの連休でした)
やはり男性のことが気になる。担当の利用者さんとなると余計に気になります。連休中は、その日に勤務している看護師に、男性の状態を確認していました。そして連休の中日。
最後のときが近付いていることを知り、休みでしたが上司に出勤して良いか確認し、男性の元に行くことにしました。(勝手に休日出勤することはできませんので、ちゃんと上司に確認します。自己研鑽という名目で許可を頂きました。)
私が男性の元に着いたとき男性の意識はなく、呼吸もいつもと違っていました。
すでに男性のご家族にも連絡してありましたが、まだご家族の姿はありませんでした。私は男性の傍に座り、手を握って挨拶をさせていただきました。
それからヒゲを剃らせていただくことに。少しでもかっこいい姿で旅立っていただけるように…
男性に語りかけながらヒゲ剃りを進めていきます。そしてヒゲ剃りが終わるころ、男性が大きな息をされました。
呼吸が止まるときでした。
すでに夜でしたので夜勤者に呼吸状態を伝え、私は男性の傍で見守っていました。そして男性は静かに人生を終えられたのです。私が男性の元へ伺い、わずか数分の出来事でした。
待っていて下さったのかな
もしかしたら担当である私を待っていて下さったのかな?
もしそうであったなら担当冥利に尽きる…
エンゼルケアは残業で残っていた主任、初めて看取りを経験した職員、そして私の三名で行わせて頂き、私たち職員にとっても貴重なエンゼルケアとなりました。
長い人生、嬉しいこと、悲しいこと、苦しかったこと、幸せだったこと、いろんなことがあったと思います。その人生の最後の瞬間に立ち会わさせて頂けたことに感謝しかありません。力不足ではありましたが担当させていただけて幸せでした。
これまでの人生本当にお疲れさまでした。ゆっくり休んでくださいね。
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